『倉敷マニアが教える瀬戸大橋と星~絶景夜景フォトレクチャーツアー~』体験レポート

夜、ゆっくり星空を見上げたのはいつでしょうか。いつでも、外に出れば、そこにある星空や夜景。自然と人工物の美しさが融合する瞬間を切り取って残せる体験ツアー。

倉敷は、民間の天文台が初めてできた場所。岡山県は多くの天文施設が点在しており、天文王国岡山と呼ばれています。

夜、見上げればそこにある星空。ギネスにも登録されている、鉄道と道路が一体となった世界一長い瀬戸大橋。ガイドブックでは、プラネタリウム(倉敷科学センター)と絶景ポイント(鷲羽山)、それぞれ別に紹介されています。倉敷市出身の筆者も、どちらも行ったことのある場所です。しかし、今回初めて「星」と「絶景」を一緒に体験しました。

プラネタリウムで「星」について学んだあと、瀬戸大橋が一望できる絶景ポイント鷲羽山へ行き、夜空が綺麗に撮れるカメラで撮影します。自然と人工物の美しさ。目の前に広がる絶景を五感で感じながら、思い出を「形」にして残せるツアー内容を紹介します。

ツアー行程

ツアーを運営するのは株式会社よしゐ屋BASE(TAKAHASHIGAWA TRAVEL)。地元、高梁川流域でツアーを展開する地元密着型の旅行商品を販売する会社です。
高梁川流域とは、倉敷市、総社市、早島町、浅口市、里庄町、笠岡市、矢掛町、井原市、高梁市、新見市が含まれる地域を指します。

筆者が参加した「倉敷マニアが教える瀬戸大橋と星 絶景夜景フォトレクチャーツアー」は、星に着目し、瀬戸大橋が一望できる鷲羽山で、夜の絶景を写真にして残す、という内容でした。なぜ倉敷で星なのか。倉敷は日本初の民間の天文台ができた場所であり、日本初の公開天文台や、国内最大の望遠鏡が設置されるなど、天文との縁が深く、天文王国岡山と呼ばれているからです。

ツアーのこだわりは4つあります。
・高梁川をテーマにしたツアーを実施
・ツアーのストーリーを感じてもらう
・対象は外国人
・ガイドや通訳のひと自身も魅力のひとつとして感じてもらう

タイムテーブル

16時30分 倉敷駅南口観光バス駐車場へ集合

16時45分 バスの車内でツアーについての説明(バス)

17時15分 プラネタリウムでの星空鑑賞&フォトレクチャー

三島さんによる解説

18時35分 鷲羽山のフォトスポットへ移動(バス)

19時15分 駐車場から撮影場所へ移動(徒歩)

19時30分 撮影開始

20時00分 撮影場所から駐車場へ移動(徒歩)

20時15分 くらしき天文台へ移動(バス)

21時15分 くらしき天文台 原澄治・本田實記念館解説

21時25分 星の光澄みわたり(カフェ)にてクロージング

外国人参加者のなかには日本語が分からないひともいましたが、言葉が分からなくても大丈夫。通訳案内士の千先ゆう子(せんさき ゆうこ)さんが星についての難しい説明も分かりやすく英語で訳してくれます。

注釈:千先さん

それでは、ツアーの中身を見ていきましょう。

星を知る

出発地点は、「ライフパーク倉敷科学センター」から。ここは、プラネタリウムのある科学館です。ドーム直径21メートルの宇宙劇場では、満点の星空を映し出すプラネタリウムと大迫力の全天周映画が楽しめます。プラネタリウムは、2019年3月に大規模なリニューアルを終え、日本有数の先進的な機能を持つ設備に生まれ変わったそうです。

星空の解説は、倉敷科学センター学芸員の三島和久(みしまかずひさ)さん。三島さんは神奈川県平塚市出身で、幼少期から天文学のとりこになり、中学生からアマチュアとしてプラネタリウム運営や、天文学に関わり、現在は施設の天文台を通じて天文学の普及を行っています。

星を全くしらなくても、カメラが苦手でも心配ありません。プラネタリウムで、オリオン座、大三角形、など、星の解説をあたたかさ感じる三島さんのやさしい語り口で学べます。これから鷲羽山(わしゅうざん)で見るリアルな星空に期待が膨らみます。

星のお話は、通訳案内士の千先(せんびき)さんが、三島さんの言葉をすぐに英訳して伝えてくれます。

プラネタリムに映し出された鷲羽山から見える景色。映像は夕刻から夜になっていき、これから鷲羽山で見ることのできる星空が映し出されます。これから向かう絶景ポイントで、何の星が見えるのか、星座のみえる方角や、何を目印に星を見つければ良いかなど、三島さんが星の解説をしてくれました。

カメラレクチャー

星の解説のあとは、夜景や星空を撮るため、カメラ操作のレクチャー。実際に撮影に使う機材(カメラ)を使って、星空を撮るための操作の練習をします。「最初に一番大事なことがあります。まずは、カメラのレンズカバーを外してくださいね!」と三島さん。さすがにそれは忘れないでしょ、と思ったものの、筆者の番の時には、すっかり忘れており、映らないなぁ・・・と困っていると、三島さん「これ外してくださいね」とレンズカバーを外しながら、にっこり。初めての場所で暗闇の中カメラ操作をすることに不安でしたが、実際に使用するカメラを使って、丁寧に教えてもらえたので安心して撮影に向かうことができました。

バスで移動

カメラ操作の説明を受けたあとは、実際に絶景ポイントへ。ライフパーク倉敷科学センターから鷲羽山へバスで移動します。倉敷駅を出発した時は、まだ明るかった空もすっかり暗くなっています。

バスの中では、三島さんが今まで撮影した絶景ポイントでの写真を見せてくれました。30年星空を撮り続けて、こんなに美しく撮れたのはこの時だけ!という満天の星空写真を見せてくれ、これからどんな景色が見られるか、ワクワクしてきます。バスでの移動は、ちょうど19時ごろ。小腹が空いたな、という時に、軽食(おにぎりと緑茶)が配られました。おにぎりの具は、食欲そそる香り漂う肉の燻製です。おにぎりを食べ終える頃、ちょうど鷲羽山に到着しました。

鷲羽山

鷲羽山は、日本初の国立公園として知られる瀬戸内海国立公園の代表的な景勝地。山頂からは、海上に点在する島と雄大な瀬戸大橋の姿を見ることができ、まさに絶景ポイント。駐車場から展望台への階段を登ると、ライトアップされた瀬戸大橋が目の前に広がります。夜景を眺めながら、徒歩10分ほどで絶景ポイントに到着。用意された一眼レフカメラを使って、各グループに分かれて撮影。さきほど教えてもらった通りにできるのかドキドキです。

星と瀬戸大橋の絶景夜景ポイント

事前に教えてもらった通り、カメラのピントを合わせて撮影開始。瀬戸大橋やオリオン座など、星や瀬戸大橋、眼下に見える夜景など、各々好きな景色を撮影します。

まずは、星にピントを合わせます。真っ暗な空から、小さな星を探すのは大変です。ピントを調節したり、カメラや三脚を動かしたり。なかなかフレームの中に星が入りません。確認しようにも、パッと見は、真っ暗です。星は難しそうなので、まずは瀬戸大橋!と、橋をメインに撮影。すると、目には見えない星が、撮影するとちゃんと写っていて、びっくり。ライトアップされた瀬戸大橋と、星空が映った写真が撮れた時には、おぉ!と思わず声が漏れました。

暗闇の中での撮影は、写真を記録するためのSDカードを入れたりカメラの設定ボタンがどこにあるのかなど、少し手間取ったものの、すぐに講師の三島さんが気づいて声をかけてくれ、撮影を終えることができました。

帰りのバスの中では、スマホに入った写真を隣の方と見せ合いっこ。先日は、こんなところに行ってね・・・と話はつきません。偶然一緒にグループになった方と夜景を一緒に撮影することで、交流ができて、楽しいひとときでした。鷲羽山での撮影はとても寒かったけれど、帰りのバスの中で、撮影している時の話で盛り上がり、心があたたまりました。

くらしき天文台

撮影が終わった後は、くらしき天文台へ向かいます。ここは日本初の民間の天文台。くらしき天文台は大正時代、原澄治(はらすみじ)氏により創設。 当時は官立の天文台しかなく、一般の人は望遠鏡を覗くことができませんでした。晴天の多い岡山で一般の人も覗くことができる天文台を作ろうということになり、 大正15年、イギリスより購入した反射望遠鏡の設置により、くらしき天文台が誕生しました。

原澄治・本田實記念館

原澄治・本田實(ほんだみのる)記念館は、財団法人倉敷天文台構内の5mドームを使い平成5年11月21日に開館。記念館の2階は「原澄治記念室」として天文台設立時に購入した望遠鏡、創設のころの天文台関係の文献や新聞記事、創設者原澄治の書や陶芸作品が展示されています。生涯に新彗星12個、新星11個を発見し、コメットハンターとして世界的に知られていた本田實。その、本田實が愛用した観測機材や、星の写真の撮影フィルムが展示されています。ここでも通訳案内士の千先さんが、展示物を指差しながら、解説してくれました。

星の光の澄みわたり(カフェ)

それぞれのグループで、撮影した画像をみんなで見るため、倉敷天文台に隣接した「星の光の澄みわたり(カフェ)」に移動。カフェのドアをあけると、コーヒーのいい匂いがします。店内入ってすぐのところには、こだわりの「星」グッズが。飲食スペースには、星を連想させるような素敵な照明や、星にまつわる本がずらりと並べられ、全てが星に囲まれた、星好きにはたまらない空間。

写真をみんなでシェア

自分の撮影した写真や他の参加者の写真が、みんなで囲むテーブル上にあるモニターに映し出されます。三島さんがレタッチした写真と、オリジナルの写真を見比べ、参加者が撮影した写真について、ここがこうだね、このアングルいいね、など三島さんが解説。筆者の想像以上に、星が綺麗に写っていて驚きました。目には見えていない星もたくさん写っており、ついつい見入ってしまいます。写真を眺めながら、コーヒをいただき、参加者、そして三島さん、千先さん交え、話が弾む和やかな時間を過ごせました。

おわりに

「倉敷マニアが教える瀬戸大橋と星、絶景夜景フォトレクチャーツアー」カメラ操作が苦手な筆者でも、絶景ポイントで夜景写真が撮れました。絶景ポイントへ向かう、鷲羽山の暗闇を一人で歩くには少し勇気がいりそうですが、(何しろ真っ暗なので・・・)このツアーでは、ガイドや講師が同行してくれたので、慣れない撮影も楽しめました。

星の魅力は万国共通。星は地球上どこにいても見上げればそこにあるけれど、今、ここに一緒にいる人と、星空を見上げ、それを形に残すことができるのは、お金に変え難いスペシャルな体験。

絶景ポイントの鷲羽山はとっても寒かったけれど、カフェで参加者と交流する時間は、心があたたまりました。

倉敷の夜景を見るだけでなく、プラネタリウムでの星の解説、瀬戸大橋が見渡せる絶景ポイント、そしてプロ仕様の写真撮影!5時間半のバスで巡るツアー。夜景や星空なんて撮ったことない、カメラ初心者方も、夜景も星空も余裕!という、カメラ好きな方も、天文王国、晴れの国岡山の絶景夜景ポイントで、思い出を形にして残してみませんか。

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